ファッションデザイナーとのシェアは、首都高を眺めながら

依頼主の服づくりにおけるこだわりは「素材と着心地」。
産地まで足を運んで、職人さんとの会話から生地を１からつくる。
オリジナルブランドは、“高くてもいいものを大切に着たい”という大人の男性に向けた服。

「昔から古着の持つ世界観が好きだったんです。
“傷だらけの天使”というドラマで俳優さんが着ていた
レザーのアイテムやパンツファッションが、そりゃあもう衝撃で。」

確かに、依頼主のつくる服には、
どこか懐かしさを感じさせるものがあります。

「服づくりにおいて、バイブルにしている
ドイツの写真家、AUGUST SANDERの“MENSCHEN DES 20 JAHRHUNDERTS”という本があります。
ワイマール共和政下のドイツ社会の断面を示そうとした人物写真から
色々なインスピレーションをもらってます。」

古さ、懐かしさの中に存在する思想。
それが、オリジナリティを形成し、不思議な魅力になる。
お話を聞いていると依頼主のこだわりに通じるものが
この建物自体にも、あることに気づきます。

お互い気を遣わないマイペースなシェアをしたい

「今回は、同業というより、どちらかと言うと異業種の方が来てくれると嬉しいですね。
これまで１人で使っていた空間に、誰かがいることでビジネスじゃない部分で刺激をもらえたら、と。

建築関係、カメラマン、もちろん若い子でも、
お互い気を遣わないでいられる、マイペースな方がいいです。
居心地がいい人で、おしゃれだったらいいですね。
男性だったら、自分がつくった服を試着してもらったりとか、アイディアに意見もらったりとか出来たら、と。
まぁその意見を聞くかは、わからないですけれど。ははは。

オフィスには、午前中来てメールなどをチェックして、外出。
夕方戻ってくるような動きをしているので
帰ってきて、お茶したり気が向いたときにお酒飲みに行ったり出来るような感じの方がいいですね。
このあたり、隠れた名店がたくさんあるんですよ。」

そんな風に語る依頼主は、ON OFFの切り替えが、はっきりしています。

「僕の服づくりは、やるぞ！と気持ちを切り替えてからつくり出すことが多い。
あとは産地に行って生地づくりの職人さんと話しているときに服のイメージを思いつきます。

趣味は、旅に行ったり、車が好きなんでドライブしに行ったりします。
行った先でよかったのは、タイ・南仏のビアリッツ。リゾート地の海でぼーっとしてます。
あとは、プードルを二匹飼っているんですけど、かわいいんですよ。
犬の話が出来る人もいいですね。」

今回は、依頼主がどんな方かは会ってからのお楽しみ。
物腰柔らかな、大人の男性です。

ヴィンテージマンションの4階にある、このアトリエは
首都高を走る車から中が見えるんだそう。
ここで、どんなシェアが行なわれることになったか、気になった方は
首都高を走ってみるといいかもしれません。
（ライター：中里希）