一緒に戦う人募集！全国のまちづくり会社が集まる秘密基地

「世の中を変えたい！」　一緒に戦うための前線基地。

「ここは、何かを変えたいと問題意識を持つ人たちのための前線基地なんです」
そう話すのは、一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス（以下、AIA）理事の村瀬正尊さん。

AIAは、日本各地の活性化や地域経済の再生を目的とした組織です。まちづくりのノウハウを共有化したり、
各地が協力しあえるアライアンスを構築。全国のまちづくり事業の本拠地となっています。

アライアンスにには札幌大通まちづくり会社や熊本城東マネジメント会社、新宿駅前商店街振興組合など
全国11都市のまちづくり会社が参加しています。

2011年8月に開設されたマチキチ大崎はJR大崎駅から徒歩2分の3階建のビルにあります。
AIAは3階にオフィスを構え、日々まちづくりについて議論し、各地のまちづくり会社との連携を図っています。

成功事例を他のエリアでも生かせ　斬新なアプローチでまちづくりに臨む

地方の停滞ぶりについて、「本当に危機的な状況にあるんです。自治体が補助金を投入したところで、一時的な活性化にしかなりません。」と村瀬さん。

AIAでは、「コスト意識が欠けていてはだめ。街づくりには企業経営の視点が必要」と考え、「現状をどうにかして改善したい」という志を持つ地元の人たちと連携。他の地域で成功した事例をその地域の実情に合うように調整したり、コンサルティング業務などを行っています。

例えば、熊本城東マネジメント会社では、中心部に立地する各中小ビル単位で行っていた事業系一般ゴミ処理などのビルメンテナンスに係る業務をエリア全体で取りまとめ、一括で一社に委託することでコストダウンに成功させた「ファシリティマネジメント事業」の実績があります。

このノウハウを熊本以外のまちづくり会社や、商店街が応用できないか？と考え、AIAではこうした成功事例を、経験資源の乏しいまちづくり会社でも取り組める事業プログラムとして提供しています。

なにより重要なのは、まちづくりを担う当事者の積極性。こうした観点からまちづくりについて考えプログラムを設計、アプローチしていくところがAIAの魅力や強みでもあるのです。

マチキチのコンセプトは「秘密基地」。

「まちの基地」を意味するマチキチ。
AIAのメンバーは、この“基地”に集う人たちは、「戦う人」であってほしいと願っています。

「助けてくれと受け身の姿勢じゃなくて、戦うぞ！という人との出会いを求めています。
なんとか現状を変えたいという人に来てほしいし、そういう人たちと一緒に考え、何かに取り組みたいんです」
同じくAIA理事で、このビルのオーナーでもある綱嶋信一さんは熱く語ります。

綱嶋さんは、地元大崎で飲食店を営む傍ら、30年以上もまちづくりに携わってきました。今、自らの経験や
ノウハウを若手中心のAIAメンバーに継承しようとしています。このビルをリノベーションし、3年限定でAIAに提供することも決めたのもその一環。

空間デザインはホテルクラスカ（東京・目黒）などを手がけた広瀬郁さん（トーン＆マター）に依頼。
ロゴとサインデザインは2010年にGOOD DESIGN賞を受賞したminnaさんが担当しました。
コンセプトは「秘密基地」。学校をモチーフにし、どこか懐かしくて、居心地のいい空間となっています。

1階は教室のような「フリースペース」。駄菓子がいっぱい並んだ「キオスクスペース」の壁面には、大容量の冷蔵庫も備わっています。マチキチでは各地方都市出身のメンバーが集い、在京地方出身者同士でのコミュニティ作りを目的としたイベントを不定期で開催。これまでに札幌や北九州の方たちが会場としてご利用されています。

2階は「レクチャールーム」。平日はカルチャーセンターの会場として利用されています。

3階はテレビ会議も可能な「オフィススペース」。毎週月、木曜はAIAメンバーのオフィスとして稼働しています。革張りの椅子が並び、集中して仕事ができそうです。
ビルは窓が多く、自然光が多く差し込んでいます。明るく開放的な空間には、「世の中に一石投じたい」と強く願うAIAメンバーの熱気が満ちあふれ、こちらまで前向きなエネルギーがもらえそうです。

使い方はその人次第！世の中を変えたい人、求む！

村瀬さんは、「単にシェアオフィスやイベントスペースを探している人を募集しているわけではありません」と断言しています。AIAメンバーは、お互いが刺激し合い、相乗効果が得られることを願っています。

今回の募集では、例えば下記の様な利用者を想定しているそうです。

■プロジェクト単位でオフィスや拠点として利用する場合：
社会問題を解決するためのオフィスを探す社会起業家や新しいアイデアを持ったプロジェクトを展開する方、
地域活性化などに関連した活動を行っている方など

■イベントスペースとして利用する場合：
地方の情報を発信するイベント、東京在住の地方出身者がつながれる交流会などまちづくりや地域活性化に関連したイベントを行う方など

「マチキチ」のどのフロアをどういう風に使うかはその人次第。
まずはAIAのメンバーと面談をして、フィーリングや方向性を確認。利用条件など詳細は、その後の話し合いで決めていくことになります。

「単なるスペースの利用だけでなく、応募してきた人たちのアイデアの具現化やプロジェクトの実現に向けて、僕たちも一緒に考えて行動していきたいと思っています」と村瀬さん。AIAが持つ地域活性化の経験やノウハウは、何かユニークなことを実現させたい！と願う人にとっては、心強い味方となるはず。
本気で地域を変えたい人、求む！

（ライター：吉川明子）